『サイバーエージェントとメルカリにみる組織強化システムの構造的分解│About Product by @kyosu ke』
新しい事業が立ち上がればそこには優秀な人材が必要です。そこに若手がいきなり抜擢されることもありますし、中堅社員が登用される場合でも、玉突きで中堅社員が担っていた重役ポジションが空くのでそこに若手が抜擢されます。
これもMission Statementに記載されている「若手の台頭を喜ぶ組織で、年功序列は禁止。」を体現しています。
先述のMission Statementにある『インターネットという成長産業から軸足はぶらさない。』という言葉を体現するように、サイバーエージェントの事業展開は幅広いです。
総合商社は扱う商材の幅広さを表現して「カップラーメンからロケットまで」などと言われますが、サイバーエージェントはインターネット業界でこれを体現していると思っていて、在籍時から個人的にサイバーエージェントのことを『インターネットの総合商社』と呼んでいました。
このインターネット商社的な事業ドメインの広さ、新規事業の立ち上がる頻度・数の多さが社内にポジションを生みます。
これがサイバーエージェント社固有の前提条件です。
そして最後に「挑戦した敗者にはセカンドチャンスを。」というMission Statementに集約される、挑戦に対する心理的安全の確保および、再登板の仕組みがあります。抜擢により失敗したとしても決断経験を積むことで、成長しているわけでその社員には新しいチャレンジの機会が巡ってきます。
加えて、社員総会の全社MVPやベストルーキー賞のように活躍する人にスポットライトが当たる仕掛けがあり、自然とこの強化ループに入りたくなるような工夫が随所にあります。
これらの一連の仕組みにより、組織の質的な厚みが増すと同時に、「優秀な若手が活躍できる場」として新卒採用におけるプレゼンスが高まり、量的にも厚みが増すことに繋がります。
ValueのBe a Proの項目を見ると、「一人ひとりがその道のプロフェッショナルとして高い専門性を持ち、日々の学びを怠らない姿勢」で「高度なスキルとポジティブなマインドの両方を持ち、行動に移」し、「自らの仕事にオーナーシップと責任を持ち、成果や実績にコミットする」と表現されており、これらのプロフェッショナルが活躍できる状態を整えることに注力されています。
一方で、これらを満たすようなプロの数は労働市場全体で見たときに、必ずしも多いとは言えないでしょう。
この「市場で希少性の高いプロの活躍に注力する」というのがメルカリ社固有の前提条件です。
各種組織施策に代表されるようにプロフェッショナルにとって働きやすい環境づくりに注力していると思っていて、働きやすい環境があるからこそ、社員が自然と自社を推したくなるため、リファラルが回ります。
在職中に何人かのエンジニアから「○○さんのコードレビューを受けられることが最大の福利厚生」といった言葉を聞いたことがあります。
プロフェッショナルはプロフェッショナルと一緒に働けることをポジティブに捉えることが多いため、それにより再びリファラルが回るという構造があるように思います。
一方で、「プロフェッショナルな個人と会社の契約関係」というスタンスがあるからこそ、新しい社外への挑戦(退職)においてもフラットに送り出すというスタンスをとっています。
ただし、同社の高い採用基準にかなうプロの数はかぎられているため、送り出し続けていては組織の量的な厚みが減るばかりです。
ここで、再びお互いの道が交わるならば「出戻り歓迎」とすることで、その量的な厚みが減っていくことを防ぐ仕組みにつながっていきます。
実際、プロフェッショナルにとって働きやすい環境かつ、各種施策も大胆(Go Bold)で常に半歩先を行っていて、中に居ても外から見てもイケてるなと思うものばかりであるため、在籍中の従業員体験は大変良いものでした。
そのGo Boldな施策と良質な従業員体験こそが、打ち出すだけではなく実際に出戻りをして再活躍するプロを生み出しているんだなといつも感心しています。
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